戯言堂 その7 

プロモーション専用盤研究 「MaybeBlueシングル盤」

今回の記事は「別冊宝島 ユニコーン&奥田民生の摩訶不思議」
音楽誌が書かないJポップ批評 (22) (別冊宝島 (724)) を持っていて、
さらに再始動後に発刊された文庫版
音楽誌が書かないJポップ批評 ユニコーン (宝島SUGOI文庫 B へ 1-20) を買おうかどうか、というところを気にしている方むけの記事です。

そもそも文庫でない「別冊宝島」を持っていない方は、書店にて立ち読みをして内容を確認していただくか、 以下宝島社サイトの書籍紹介をご覧の上購入を検討してください。

http://tkj.jp/book/book_70705001.html

写真がなく、インタビューもないため、ビジュアル性という方向では一切期待できない本なのですが、 資料性という方向性で考えれば、再始動後に連発された様々な雑誌に比べれば かなりコストパフォーマンスは高い良い資料だと思いますので、 基本的に「別冊宝島」を持ってないならば、まずは購入をお勧めします。

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というわけで、違いです。

1)全体的な構成

個人的には結構好きだったイラストが全面的に省かれており (各章扉ページにちょこっと残ってはいるものの)あっさりした印象、 また結構凝ったページ構成だったものが普通の文庫っぽい縦書きになりました。
中身自体はそんなことはないんですが、ぱっと見だいぶ硬い印象になっています。
ページの色もなくなっちゃって網掛けすらほとんどないので、 正直読み物ではなくデータを活用するときにはかなり見辛いです(^^;
雑学系の文庫本みたいなにぎやかな構成を期待してたんですが、「読み物」性を重視した印象。

「別冊宝島」の「摩訶不思議」と「アンチスター」の再編集ということになってますが、 全アルバムレビューが「アンチスター」(もちろん「シャンブル」レビューは書き下ろし)、 それ以外の部分は大半「摩訶不思議」の方の内容です。

2)内容

文章は基本的に元々あるものをベースとして再始動を踏まえて 必要に応じてリライトしてある形です。
すでに持っている方でもそれなりに新鮮に読めるかと思います。

また、レビューは全般的に再始動後準拠となっているためデータ面での違いはかなりあります。

●MOVIEレビューが単品DVDのレビュー扱いから「BOX」のレビューという形に変更
 →なので、沖縄映像のレビューもアリ。既存のMOVIEのレビューは一緒です。
  以前の冊子から再編集するにあたり、再始動後ならではの要素を含めるということで
  「BOX」のレビューという形で「沖縄」という色気を出してみたものの、
  レビュー見て欲しくなっても、買えないというオチです(^^;
  いや、もしかしたら「BOX」再販の伏線なのか!?(笑)

●全曲レビューが大幅変更。レビュー自体は大体一緒。
 →初出順から、アイウエオ順に変更
 →ベストアルバム収録状況も記載
 →「シャンブル」の曲もごく普通に含まれている

3)総合評価としては

現時点で「コストパフォーマンス最強の資料」であることは確かですが、 文庫本という「読み物」としての構成を重視しているために データ系がパッと見かなり見づらくなってしまったことと、 イラストがなくなったり色味がなくなったりで書面から ユニコーン的なポップな部分がどうも感じられなくなってしまいました。 そのあたりが個人的にはちょっとしょんぼりポイントなので、 以前より良くなったかといえば元の「別冊宝島」ムックのほうが私の中では評価が高いです。

ただ、やはりこの文庫化では 再始動後の新情報を踏まえて内容をリライトしてあるというところが 最大のポイントだと思うので、その点では、別冊宝島既読の方でも 読み応えが結構あるという点では評価できると思います。

すでに持っている場合「コレがあれば『別冊宝島』なんてもう陳腐だね!」 というカンジではなく、やはり『別冊宝島』はそれなりの良さがあるので、 今回は「再始動を踏まえて過去を総括する資料」という位置づけとした 別個の資料という形で意味があるかな、と思います。